診療・各部門
消化器外科(消化器全般の悪性腫瘍、胆石症・痔などの良性疾患など)、乳腺・甲状腺・内分泌外科(乳がん、甲状腺がん、副腎疾患など)、呼吸器外科(肺・縦隔などの良性・悪性疾患)、血管外科(末梢血管・下肢静脈瘤など)や外科全般について、救急医療から終末期医療までどのような時期でも診療いたします。
乳腺・肺・胃・大腸・肝胆膵などのがんについては、診断部門である内科や放射線科のスタッフと協力して、最新の外科治療を行い、皆様の健康保持のために努力しています。
最近の治療法として、肺や胃・大腸・肝臓・胆道・膵疾患には胸腔鏡や腹腔鏡を用いた手術を実施しています。
また当院の外科は、日本肝胆膵外科学会の指導医・専門医が常勤しており、これらの領域の外科手術にとくに力を注いでおります。
専門とする疾患名および説明
乳がん:
乳がん検診は常時行なっています。乳腺のしこりや乳頭異常分泌のある方の受診の窓口です。最新医療機器を用いてMMG(マンモグラフィー:乳腺撮影)、超音波検査、MRI検査を行い早期診断につとめ、乳房温存手術や術後薬物療法まで診断から治療に至る一貫した診療を行なっています。またMMGは、認定を受けた専門医が読影しております。
同様に、甲状腺疾患も診療しています。
胃がん・大腸がん:
どちらも早期診断治療で治りやすくなってきたがんです。診断部門と協力して、進行度に応じた手術とがん化学療法をエビデンスに基づいて治療し、良好な成績が得られております。また進行度によっては腹腔鏡下手術も積極的に導入しております.
最近までの当院外科の胃がんの術後5年累積生存率は、進行度ステージ1Aは98%、ステージ1Bは85%、ステージ2は75%、ステージ3Aは70%、ステージ3Bは44%、ステージ4は5%という成績です。
大腸がんの術後5年累積生存率は、ステージ0+1は100%、ステージ2は85%、ステージ3Aは79%、ステージ3Bは55%、ステージ4は19%という成績です。
胃がん・大腸がんともにステージ3Bと4は術後成績が不良ですので、最新のガイドラインに基づいた術後がん化学療法を積極的に行っております。
また切除不能進行・再発がんに対しても、患者さんの体力に応じた多種のがん化学療法を行い、生存率とQOLの向上が得られております。
肝がん・胆道がん・膵がん:
現在でも難治性の疾患群ですが、最も有効な治療法は外科手術とされております。進行度と体力に見合った手術術式を選択し、合併症のない外科手術を目指しています。
肝がんは、年齢や肝機能・がん進行度に応じて、肝切除のみでなくラジオ波焼灼術(RFA)や経肝動脈的治療(TACE)も選択し、当院の放射線科医や肝臓専門医と共同で治療しております。
胆道がん・膵がんは、他の消化器がんに比べてがんの悪性度がきわめて高く、進行例での手術後累積生存率は決して良好とはいえませんので、現在まで手術後の8割の患者さんに積極的ながん化学療法を行ってきました。最近では手術前のがん化学療法で良好な成績が得られる進行膵がん症例もいますので、適応のある患者さんには術前がん化学療法も積極的にお勧めしております。
この領域のがんは早期発見がもっとも重要な因子ですので、専門医による定期検査を心がける必要があると考えています。
肺がん・肺のう胞(気胸):
主に手術療法を担当し、早期がんや自然気胸には胸腔鏡下手術を実施しています。
胆石・ヘルニア・痔:
本邦ではとくに多い疾患で、当院の外科的治療の約2/3を占めています。患者さんは、がんと異なり早めの手術をためらう傾向にありますが、一般には年齢とともに悪化し、時に重篤化する疾患群でもあります。
胆石は無症状で経過する方も少なくはありませんが、胆道の出口に結石が詰まると急速に細菌感染を起こし、高度の腹痛・発熱をきたし、腹膜炎や多臓器不全へと進行し重篤化します。
ヘルニア(鼠径・大腿・腹壁・閉鎖孔など)は、嵌頓(完全閉塞)状態となると腸の壊死をきたす恐れがあります。
痔も脱出が高度になると強い痛みと便通障害をきたし、細菌感染を合併すると肛門周囲膿瘍や周囲組織の重篤な壊疽をきたす可能性もあります。
いずれの疾患も、短期間の入院で治癒可能な疾患ですので、早めの手術をお勧めします。
痔に関しては、専門医による注射療法(ALTA)で1泊治療も可能ですのでご相談下さい。
下肢静脈瘤:
病状の程度に応じた治療法を行っており、日帰り手術も可能です。
専門外来:
肝・胆・膵外科外来、乳腺外来、血管外来、緩和ケアー外来、ストーマ外来を設けています。
緩和ケアー外来・ストーマ外来では、担当医や専門ナースによるチーム医療体制で、患者様の悩みや治療方法について対応しています。
実績
平成21年1月から平成28年12月までに次のような手術を行いました。
主な外科手術
頚部 | 甲状腺の手術 | 35例 | ||
---|---|---|---|---|
胸部 | 肺の手術 食道の手術 |
49例 14例 |
乳腺の手術 | 107例 |
腹部 | 胃の手術 大腸の手術 胆道の手術 膵臓の手術 肝臓の手術 |
192例 359例 520例 129例 144例 |
肛門の手術 | 96例 |
血管の手術 | 58例 |
からだにやさしい手術をこころがけています
麻酔科 小西先生の協力で手術後も硬膜外麻酔を併用しております。これによって手術後の痛みはかなり楽になりました。
胃の手術後3日間の痛み止めの回数をみると
硬膜外麻酔の併用なし 平均5.9回
併用あり 平均1.8回
と明らかに痛み止めの回数に差が見られます。
これからも積極的に術後硬膜外麻酔を併用し、80歳以上の超高齢者に対しても
安全かつやさしい外科手術を心がけていきたいと考えております。
外科スタッフ自己紹介(2017年6月現在):
前場 隆志(名誉院長)
外科医になって40年以上になります。香川医大外科に20年間在籍し、消化器外科とくに肝胆膵外科を専門にしております。現在、病院長を兼務していますが、外来診察と手術は行っております。個々の患者さんの主治医はできませんが、毎朝の入院患者カンファレンスで病状を共有しております。患者さんの病態に応じた術後合併症のない外科治療を行うことを心がけています。そのためにも「患者さんは自分の親兄弟と思い接すること」をモットーにしております。
因藤 春秋(主任部長)
最近外科学が臓器別・機能別に専門分化されてきています。臓器別診療は、専門性の追求においては有意義ですが、地域医療の現場で求められる全人的医療を行ううえでは最適の手段ではないと考えます。総合外科医(general surgeon)とは多臓器にわたる救急外科手術から集中管理、癌の診断、癌化学療法や緩和医療までの一貫した治療を行っていくものです。当院の外科は地域医療の現場で求められる全人的医療を実践できる総合外科医をめざしております。
消化器外科(腹部消化器全般の悪性腫瘍、胆石症・痔などの良性疾患など)、乳腺・甲状腺・内分泌外科(乳がん、甲状腺がん、副腎疾患など)、呼吸器外科(肺・縦隔などの良性・悪性疾患)、血管外科(末梢血管・下肢静脈瘤など)や外科全般について、救急医療から終末期医療までどのような時期でも診療いたします。
乳腺・肺・胃・大腸・肝胆膵などのがんについては、診断部門である内科や放射線科のスタッフと協力して、最新の外科治療を行い、皆様の健康保持のために努力していきます。
出石 邦彦(部長)
これまで消化器外科を専門に行って参りました。その間、外科の基本術式は変わっておりませんが、細部においては多くの新しい知見が得られているとともに、新しい器具の開発により手術は大きく進歩しています。腹腔鏡の開発は低侵襲手術を可能にし、止血器具の開発により出血の少ない手術ができるようになりました。より丁寧な手術で出血を抑えるとともに機能温存を図り、より早い術後の回復が得られるような手術を目指しています。患者様に最新の医療をご提供できるよう、常に新しい情報を得るよう心がけておりますので、よろしくお願いいたします。